介護者の在宅復帰をメイクで応援。
介護老人保健施設「青美」へ向かったのは、ヘアメイクコースの1年生。こちらの利用者の方々にヘアセットとメイク、ハンドマッサージを行います。「家に帰ること」を目指して介護を受けながらリハビリを行う利用者さんたちに、少しでもハッピーな気持ちになってもらうべく、3年前から活動がスタートしました。2人1組で1人の利用者さんを担当し、好みの色などを聞きながら、メイクを進めます。事前予約制ながら、当日の楽しそうな様子を見て「私もやりたい!」と、飛び込み参加を希望する利用者さんも。学生たちは急いでメイクセットを取りに学校へ戻りました。メイク終了後も担当した方とのお話に花が咲き、あっという間にお別れの時間に。教室に戻ってから、担当した利用者さんに宛てたメッセージカード作りも。世代を超えた交流の時間になりました。
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スタート直後から学生たちの明るく元気な声が飛び交います。フロア全体があたたかい雰囲気に包まれます。
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メイクはもちろんのこと、コミュニケーションをとることも大きな目的の1つ。昔の話や人生の教訓など、同世代との会話では得ることのできない興味深い話も聞けたそう。
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会話中はしっかりアイコンタクト。会話をしながらテンポよくメイクを進める力を養う、絶好の機会になりました。
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少し緊張気味の利用者さんには、ひときわ優しく丁寧に対応。徐々に笑顔になっていく様子を見て、対応した学生もほっとした表情に。
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メイクを終えて、嬉しそうに鏡に映る顔を何度も見ている方も。涙を浮かべながら学生に感謝の気持ちを伝えている場面もありました。
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担当した利用者さんへのメッセージカードづくり。字の大きさや言葉遣いにも気を付けつつ、思い思いの感謝の言葉を書き進めていました。
岩崎萌香さん
ECCアーティスト美容専門学校
ヘアメイクコース
- 利用者の方とどんな会話をしましたか?
- 私は将来東京でヘアメイクの仕事をしたいと思っているのですが、メイクを担当した方にそのことを話すと、その方が昔東京に住んでいたそうで、東京の話で盛り上がりました。帰り際に「転んだら立ち上がるのよ」と応援の言葉をいただき、とても感動しました。ヘアメイクを仕事にしたい!という思いが一層強まった瞬間でした。
- ボランティアを終えての感想
- 施設の利用者さんは、久しぶりにメイクをするという方がほとんど。普段メイクをしている方にメイクをしたときよりも喜びが大きく、感謝されることを実感できました。普段生活していて出会えるような世代の方々ではないので、とても貴重な経験になりました。人生の先輩からいただいた言葉を励みに、立派なヘアメイクになれるよう、頑張っていこうと思います!
介護老人保健施設は地域に開かれた場所であり、ほかにもさまざまな地域交流を行っています。今回のボランティアを通して、年配の方とのコミュニケーションの難しさを感じた方もいるのでは。そういった経験も、自身の将来に繋げていっていただければと思います。
松田佑太様(介護老人保健施設青美・施設運営課長)
取材をして初めて知ったのですが、介護老人保健施設を利用する方は女性が多いそう。「女性は外出しなくなると、お化粧をしなくなる傾向があります。今回のメイクが、お化粧をする習慣を取り戻すきっかけになってほしいなという思いもあるんです」と、担当の松田さん。学生たちのメイクが、利用者さんの在宅復帰への後押しする一歩になるかもしれません。